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2023年12月20日

琥珀色に輝く足助仕込蔵の「しろたまり」

愛知県碧南市で大正初期に創業し、白しょうゆの製造・販売を行っている日東醸造様の工場を見学させて頂きました。

白しょうゆは、三河から尾張にかけて根付くたまり醤油の文化に対し、何を作っても醤油の色が強く出てしまうという料理人の声から生まれたそうです。つゆやだしに使用され、金山寺みそを作る際に出る汁を調味料として使用したのが始まりとされています。小麦9:大豆1と小麦を多く使って作られる醤油であり、糖分が多く、琥珀色で透明な調味料です。

今回ご案内頂いた日東醸造株式会社4代目社長の蜷川洋一さんは、先代の究極の白しょうゆを作りたいという想いを引継ぎ、製造に着手しました。

「大豆が多いとうま味が増すけど色が濃くなる、小麦が多いと色は薄くなるけどうま味が薄くなる」このジレンマに対し、蜷川社長は大豆を使用せず、あえて小麦を2倍使用することにより、薄くなるうま味をカバーし、色が濃くなることを抑えたそうです。究極の白しょうゆ「しろたまり」の誕生です。

困ったことが、大豆を使用していないため法律上、名称を「しょうゆ」とは表記できず、小麦醸造調味料と表記しなければならなかったことだそうです。大豆を使用しないことと小麦麹を2倍使用する(当社比)こと以外、製造方法は白しょうゆと全く同じだそうですが。濃厚に仕上げた白しょうゆ、白しょうゆの「たまり」という意味で、「しろたまり」という商品名になったそうです。

こうして出来た「しろたまり」を、さらにおいしくするべく、醸造に必要な「おいしい水」探しを始めたそうです。そこで見つけたのが、愛知県の奥三河、足助町の山あいの集落、大多賀のおいしい湧水でした。

見学させて頂いた足助仕込蔵は、足助町立大多賀小学校の閉校後の校舎を仕込蔵として再利用し、ミネラルたっぷりの天然水と昔ながらの木桶が20個くらいあります。木桶で熟成されるしろたまりは、独特の風味と香りを持ち、その味わいは他の醤油とは一線を画します。

他の醤油は発酵をすすめて旨味を増すために樽の中を攪拌するのですが、しろたまりは色が濃くなってしまうので、一切混ぜないそうです。約4カ月丁寧に熟成させ、琥珀色の白たまりの完成です。

他にも、愛知県産の小麦、にがりの残った塩、熟成を抑えるための米焼酎など原材料のこだわりたっぷりです。「こだわりとは?」ここまでいくと尊敬です。非常に勉強になりました。次は小豆島でお会いすることを楽しみにしてます。